小野さんのうつわ紹介５～蓮の絵皿と平皿

ただいま好評開催中の小野正穂さんの蓮花弁展、会期も中盤になりました。
小野さんのうつわを、引き続きご紹介したいと思います。

昨年小野さんが初めてかしゃまでやってくださった個展の時には、うつわを前に、「どこがいいのか」はっきりとことばで表現できない自分がいて、とてももどかしかったです。たくさんうつわを紹介したかったのに、手が固まってしまって、写真もなかなか撮れなかったことを思い出します。

あれから１年余り経ちまして、改めて、小野さんのうつわと向き合ったときに、以前より、小野さんのうつわが近くに感じられました。

「うつわは、中だよ」
小野さんが、師匠の成井立歩さんに言われたことば。

いくつもいくつも作っても、成井先生は、じっと中だけを見て、なかなか「いい」とは言われなかったそうですが、あるとき「お、これはいいね」と言われたんだとお話してくださいました。「どうして外を見てくれないのかな」と内心は思っていたそうで、でも、その後に出会ったひとつの井戸茶碗の中を見て、湧き上がるような、ぐわっとした力強いものを感じ、「ああ、これが中が大事ということか」と納得されたそうです。

ついつい外見ばかり見てしまいがちだった自分でしたが、そのお話を聞いて、「うつわの中」というものが気になり始めました。今回ご紹介するのは、そんな｢中｣がなんのいやみもなく優しい表情で、料理を盛るのが楽しみな、２枚のお皿です。



こちらの蓮の絵皿は、思わず手にとる方が多いいちまいです。今回の展示でも、絵皿はこのいちまいしかありません。さらっと描かれた蓮の花びらが、とてもやわらかい表情。花びらの先は、うすいグリーンがかっています。上品に、ちょこっとなますでも盛りたいな。


そして、こちらは、一見すると地味なお皿ですが、見れば見るほど気になってきます。
中はぎゅっと密度が濃いのに、軽やかさもまとっています。
微妙な色の違いが、なんとも言えず美しいのです。
こちらには、食堂長がつくるおかずの、秋鮭の甘酢あんかけをゆったりと。
アジの南蛮漬けなんかもいいですね。


普段づかいにも、大活躍しそう！　ぜひお手にとってご覧ください。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（車掌　あや）