続けるということ。ｖｏｌ.7 ～お兄ちゃんみたいな存在の、才能あふれるショウタくん～

本題に入る前に、ブログに引越してから初めてご覧になる方もいらっしゃるかもしれないと思い、『続けるということ。』シリーズについての説明を少しさせてください。

私車掌は、元来ひとつのところにじっとしているタイプではなく、５年も、ここかしゃまに居続けられたことが、自分でも驚きなので、記事を書きながら自分でもその謎を解明したいのと、「かしゃまは、たくさんの方に支えられて、今がある」ということをお伝えしたく、ちょっとカフェギャラリーのブログではどうなのかな？と思いつつも「かしゃま文化会館」ならではということで、勝手ながらしたためさせていただいております。

今回は、特にちょっと重たい記事で、載せるのはためらいもあったのですが、これなしには、かしゃまにいる私の存在は避けられないため、長年の封印を解きたいと思います。

さて、本題です。
埼玉続きのお話ですが、笠間へ越してくる前は、学生時代からかれこれ１０年ほど埼玉にいました。

いい職場にも恵まれていた私が、笠間へ越してきたのかには訳があって、自分で小さなお店をやろうとして借りていた一軒家が、火事で燃えてしまったからです。

オープン３日前のできごとでした。

「なんか落ち着くなあ」っていつも思っていた友人・ショウタくんの家が「引っ越すから空くよ」というので、その当時、友人とふたり暮らしをしていた家と、ｖｏｌ.６のマスターのお店との、ちょうど真ん中あたりにあったその一軒家で、バイトとお店とを半分半分でやっていこうと思って、えいやっと借りました。

けっこういい感じにボロだったのでどうしようかと思っていたら、知人がいい大工さん（笠間市上加賀田に在住のＩさんたち大工さん）を紹介してくれて、一生懸命素敵に変身させてくれてました。

ちょうど火事になる前日には、ショウタくんも含めみんなで、庭の壁（これは、力作でした）をモルタルで作っていて、さあ明日はいよいよ本塗りだね、「押入れギャラリー」にもトップバッターＫちゃんの作品が搬入されるねと、盛り上がっていたところでした。

その日の夜、ショウタくんから「ソラガモエテイルヨ」と電話が入って、すぐに駆けつけたときには、ぱっと見は大丈夫かななんて一瞬思いましたが、柱は立っていたものの、すっかりきれいに燃えてしまったところでした。

幸いにも、誰にも怪我がなく、隣のお家にも被害はなく、宙（そらという名前でした）だけが、ぽっかりとなくなっていました。

後から「お祝いのＦＡＸを送っても、つながらないから、どうしたかと思ってたよ」とぽつりと言ってくれた方がいましたが、「火事で全焼」ということをちゃんとみんなには伝えられないまま、次の展開（これもまた改めて書きます）にとりかかってしまった自分がいました。

そして、ショウタくんは、私が譲り受けた古い冷蔵庫が漏電して、火が出たんだ（ちょうどそのあたりから出火したと消防の方から言われたので）と思いこんでしまいました（何年か後に出火の原因がわかりましたが、全く別のことでした）。

「ショウタくんのせいじゃないよ」って何度言っても聞いてもらえず、燃えかすのゴミを仕分けするのを自分たちでやれば、だいぶお金が浮くということを解体屋さんに教えてもらったので、地道に灰ひろいなどをやっていたのですが、毎日のように、レンガを砕いたり、運んでくれたり、黙々と手伝ってくれて、なんとかきれいに片付けることができました。

火事があってから、宙のことを笑って話せるようになるには、ちょっと時間がかかってしまいましたが、今でも大切な友人のひとりです。

いつも会うと、お互いけなしあってしまう仲ですが、ショウタくんは、とても多彩でセンスが良くて、本業はやきものやさんですが、家も作れるし、年賀状の版画はファンもいるくらいで、何をやってもいいものが作れちゃって、ほんとはこっそり尊敬しています。

見るたびに、新しい釉薬とかを試しているので、作風がどんどん変わっていくのですが、豪快な雰囲気をまといながらも、芯が一本通っている作品たちを作れるつくり手さんです。

かしゃまにも、サービスカードを入れている「ブタ」さんと、つぎはぎ小屋に寄り添っている「コケハウス」という作品があります（写真）。




昨年、埼玉から小笠原諸島に家族で移住して、しあわせに暮らしてるショウタくん。
今では、２児のお父さんです。

お兄ちゃんみたいな存在だけど、妹(仮)も、笠間という町で元気に暮らしてますよ。
今度会ったら、いろいろゆっくり話したいな。